南丹市立文化博物館だより-21号
南丹市立文化博物館だより-21号
展示会情報
「昭和百年」
展示会回顧録
企画展「大塚春嶺」
夏季展「響きあう手仕事の世界」
秋季特別展「麻田辨自展」
企画展「文字左衛門と丹波志」
学芸員ノート
「丹波八木の引札」
4コマまんが どきタマちゃん-13

令和7年( 2025 )は、昭和元年から数えて100年目の節目にあたります。昭和は64年まで続きましたが、その間には、15年にも及ぶ戦争が行われ、戦後の復興期を経て、「もはや戦後ではない」 という言葉が象徴するように高度経済成長を迎えます。このように世の中が激しく動いた時代が昭和でした。
このたびの展示会では、昭和元年から現在までの100年間の出来事について新聞号外を中心に紹介します。新聞号外は、大事件やスポーツの試合結果など人々の関心が高いニュースをいち早く伝えるもので、インターネットや情報機器が普及する現在においても情報伝達手段として根強い人気があります。
また、号外とともに収蔵品の中から時代を代表する資料や写真などを展示し、南丹市域の出来事についても紹介したいと思います。
本展を通じて、昭和を顧み、先人たちの営為にふれていただき、現代を生きる私たちの暮らしについて考える機会となれば幸いです。

令和6年度は、春季・夏季・秋季・冬季に企画展・特別展を開催しました。
春季においては、南丹市園部町出身の日本画家である大塚春嶺( 1861-1944 )の没後80年を回顧した企画展「大塚春嶺 没後80年回顧展―歴史画と物語絵を巡る優美さ―」(会期:令和6年4月6日~5月12日)を開催しました。
春嶺は、四条円山派から谷口香嶠の門に入り、歴史画の手法を極めた人物です。展示会では、『平家物語』に記される宇治川の先陣争いを描いた歴史画、『源氏物語』の情緒ある場面をおさめた物語絵の数々、たおやかな女性の姿をとらえた四季美人之図、能や狂言を題材にした後期の作品など、余韻を残す繊細な表現の絵画が並びました。
夏季は、企画展「響きあう手仕事の世界~カノミタカコcollection・タイ山地民族手工芸品~」(会期:令和6年8月10日~9月29日)を開催しました。
カノミタカコ氏は音楽家として活躍し、縁あってタイ王室と親しくなり、タイ北部に暮らす山地民族の人々が生み出す手工芸にほれ込み、現地で調査を重ねて染めや織り、刺繍、銀細工、竹細工などの品々を収集しました。収集した手工芸品は平成17年( 2005 )に当館へ寄贈いただいており、展示会ではそれらを陳列するとともに、山地民族の民話や詩をパネルにして紹介しました。また、会場には民族音楽を流し、その世界観を体験してもらう仕掛けを試みました。
秋季は特別展として、「麻田辨自展―花鳥の華やかさと風景の静けさ―」(会期:令和6年10月26日~ 12月8日)を開催しました。
本展は南丹市八木町出身の日本画家として、京都画壇で活躍した麻田辨自( 1899-1984 )の没後40年の節目にあたり開催したもので、当館の1階と2階の展示室すべてを会場としました。馬や犬、鳥など動物に向けられる優しい眼差しが感じられる作品や創作版画など、ダイナミックな大作から小品にいたるまで、多彩な作品を紹介しました。また同じく画家であった妻ツルや、2人の息子である鷹司・浩の作品などもあわせて展示しました。
冬季には、企画展「文字権左衛門と丹波志」(会期:令和7年2月8日~3月23日)を開催しました。
文字権左衛門(1717-1788)は、丹波国桑田郡岩江戸村(現南丹市美山町三埜)で庄屋役をつとめた人物で、隠居後に地誌『丹波志』の編さんに携わりました。展示会では、編さんにあたり権左衛門が踏査して作成した桑田・船井・何鹿郡地域の絵図をはじめ、それらの地域の歴史や伝承を集めた文書が紹介されました。山地を「山」という漢字で埋め尽くした独特の表現で描く絵図や、熱心な法華宗信者であった権左衛門が残した一紙一字経などからはその緻密で個性的な人柄がうかがえ、来館者の注目を集めました。また、権左衛門の死後の1794年に成立した『丹波志』は、天田・氷上・多紀郡の地誌となっており、彼が調査した成果が同書に反映されることはありませんでしたが、独自にまとめた地誌「六郡分記」を残していたことから、郷土の偉人としての関心も高まりました。


号数 | 発行年月 | おもな内容 |
---|---|---|
第20号 | 2024.03 | 展示会情報 「大塚春嶺展」 展示会回顧録 「國府克展」 「人々のくらしと法令」 「大堰川と由良川の水運」 「没後80年 岩崎革也と地域社会」 学芸員ノート 「由良川・大堰川通舟計画」 4コマまんが どきタマちゃん-12 |
第19号 | 2023.03 | 展示会情報 「國府克展」 展示会回顧録 「るり渓と南丹の名所」 「没後25年 麻田浩」 「垣内古墳 発掘50年をふりかえる」 「街道 人々のくらしをつなぐ道」 「映画ポスターからたどる南丹市の映画文化」 学芸員ノート 「文字権左衛門が描いた絵図」 4コマまんが どきタマちゃん-11 |
第18号 | 2022.03 | 展示会情報 「るり渓と南丹の名所」 展示会回顧録 「岡村宇太郎―花鳥・動物画の魅力―」 「鉄道と観光―地域をむすぶ交通―」 「森と共に生きる―知井地区を中心に―」 新刊情報 『岩崎革也宛書簡(解説編)』 学芸員ノート 「高倉御所の伝説」 4コマまんが どきタマちゃん-10 |
第17号 | 2021.03 | 展示会情報 「岡村宇太郎」 展示会回顧録 「ランプ・夜を彩る文明の華」 「八木城と内藤氏」 「旧八木小学校所蔵文書調査速報展/南丹市の祭り行事」 新刊情報 『調査報告書 旧八木小学校所蔵文書調査報告書』 学芸員ノート 「上桂川統合堰(寅天堰)」 4コマまんが どきタマちゃん-9 |
第16号 | 2020.03 | 展示会情報 「幕末から明治のくらし」 展示会回顧録 「芦生の森」 「江戸時代のくらし」 「園部藩の歴史と文化」 「八木城と丹波の城跡」 新刊情報 『資料目録 岩崎革也宛書簡集Ⅲ』 写真でふりかえる南丹市 「世木ダムから日吉ダムへ」 4コマまんが どきタマちゃん-8 |
第15号 | 2019.03 | 展示会情報 「芦生の森~森の魅力を探る~」 展示会回顧録 「岩崎家と丹波」 「高畠那生絵本原画展」 「人見少華展」 「田村宗立展」等 なんたん文化財めぐり-9 「園部藩主小出家墓所」 4コマまんが どきタマちゃん-7 |
第14号 | 2018.03 | 展示会情報 「村上公也展~身近なものたち~」 「岩崎家と丹波」 展示会回顧録 「学校のあゆみ~美山地区編~」 「小出文庫」 「戦争と子どもたち」 「麻田浩展」 なんたん文化財めぐり-8 「石田家住宅」 お知らせ 「園部藩立藩400年」 4コマまんが どきタマちゃん-6 |
第13号 | 2017.03 | 展示会情報 「学校のあゆみ~美山地区編~」 展示会回顧録 「学校のあゆみ~八木地区編~」 「平和の使者 青い目の人形」 「吉田伊佐展」 「秋野不矩展」等 なんたん文化財めぐり-7 「小出文庫」 4コマまんが どきタマちゃん-5 |
第12号 | 2016.03 | 展示会情報 「学校のあゆみ~八木地区編~」 展示会回顧録 「匠たちの技と美」・「戦争と南丹市」・「学校のあゆみ~園部地区編~」 なんたん文化財めぐり-5 「八木城跡」 4コマまんが どきタマちゃん-4 |
第11号 | 2015.03 | 展示会情報 「節句人形」 展示会回顧録 「麻田家の三人」 「暮らしを支えた代用品」 「タイ山岳少数民族手工芸品展」 写真でふりかえる南丹市 「日吉ダム」 4コマまんが どきタマちゃん-3 |
第10号 | 2014.03 | 展示会情報 「麻田家の三人」 展示会回顧録 「日本画 こころの京都」 「歴史を伝える資料たち」 「南丹市八木の歴史」 写真でふりかえる南丹市 「市役所周辺」 4コマまんが どきタマちゃん-2 |
第 9号 | 2013.03 | 展示会情報 「日本画 こころの京都」 展示会回顧録 「戦争と南丹市」 「長谷川義史秘宝館」 「麻田辨自」 収蔵資料紹介(田村宗立「嵐渓夕照」) なんたん文化財めぐり-5 「大堰橋」 4コマまんが どきタマちゃん-1 |
第 8号 | 2012.03 | 展示会情報 「麻田辨自」 展示会回顧録 「写真でふりかえる南丹市」 「浮世絵にみる京都」 「京都工芸美術作家協会展」など 八木町史編さんだより-5 なんたん文化財めぐり-4 「るり渓」 お知らせ(公式キャラクター「どきタマちゃん」誕生など) |
第 7号 | 2011.03 | 展示会情報 「写真でふりかえる南丹市」 展示会回顧録 「鉄道」 新収蔵資料紹介(丹州保津川運上所絵図面) 八木町史編さんだより-4 なんたん文化財めぐり-3 「国道九号」 |
第 6号 | 2010.03 | 展示会情報 「鉄道」 展示会回顧録 「映像文化の足跡」 「須藤久男作陶展」 「源氏物語千年紀展」 新刊情報 『調査報告書 小出文庫和書目録』 収蔵資料紹介(孔子像) 八木町史編さんだより-3 |
第 5号 | 2009.03 | 展示会情報 「里のひな祭り」 展示会回顧録 「園部藩のあゆみ」 活動報告(なんたん子ども塾) 新発見資料(園部焼) 八木町史編さんだより-2 なんたん文化財めぐり-2 「園部城」 なんたん昔ばなし-1 「不明・釣瓶コカシ」 |
第 4号 | 2008.10 | 展示会情報 「園部藩のあゆみ」 展示会回顧録 「妖怪大集合!!」 八木町史編さんだより-1 なんたん文化財めぐり-1 「上げ松」 |
第 3号 | 2008.03 | 博物館ではどんな仕事をしているの? 展示会回顧録「なんたんの味」 活動報告(なんたん子ども塾、日誌抄録) 文化博物館10年の歩み[刊行物編] 学芸員ノート「栃」 |
第 2号 | 2007.10 | 展示会情報 「なんたんの味」 展示会回顧録 「ふるさとの画家 麻田辨自」 「南丹市の遺跡」 文化博物館10年の歩み[展示会編] 活動報告(夏休みこども講座、なんたん子ども塾、日誌抄録) |
第 1号 | 2007.03 | 展示会回顧録 「故郷からのおくりもの」 「錯覚展」 「電化製品がやってきた!」 新収蔵資料の紹介(竜吐水、旭湯関連資料) 活動報告(なんたん子ども塾) |
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