[特集展示]田村宗立
『田村宗立』5月13日(火)~ 7月6日(日)
南丹市園部町出身の画家・田村宗立(1846-1918)の作品を特集展示スペースにて、7点陳列しております。宗立は近代京都における洋画の先駆者として知られている人物で、当館での展示は2018年の特別展以来です。7月6日(日)までの陳列を予定しておりますのでぜひご覧下さい。


絹本油彩・軸
131.0×50.5cm
明治18年(1885)
南丹市立文化博物館蔵
画面中央の愛宕山を背景に保津川(桂川)が貫流している様子が描かれ、 左下には川を下る舟も見える。作品を収める箱には河口浮舟なる人物の墨書があり、明治18年(1885)の作品と記されているのでこの年の制作であろう。なお、同年に開催された第14回京都博覧会の出品作で銅牌を受賞した《保津川屏風岩図》の関連作品のひとつである可能性がある。


絹本着色
85.4×34.5cm
明治32年(1899)
南丹市立文化博物館蔵
星野画廊さんから寄贈いただいたものです。


紙本墨画
135.7×46.3cm
明治30年(1897)
南丹市立文化博物館蔵


唐子とは中国の子供という意味で中国風の服装や髪形をした童子を指す。布袋(中国に実在した禅僧で日本では七福神の一人となり、子ども好きとされた)とセットで描かれることが多い唐子ではあるが、本図では唐子のみが登場している。髪型は髪の毛を1、2ヵ所くくって、それ以外のところは剃っているスタイルのものが多い。

紙本着色・六曲一双屏風
154.4×358.1cm
明治35年(1902)
南丹市立文化博物館蔵

美人画
絹本着色・軸
明治後期
南丹市立文化博物館蔵
弁財天女之図
絹本着色
明治43年(1910)
南丹市立文化博物館蔵
照らされた障子には婦人の影が写し出される。その姿は骸骨である。宗立のユーモア溢れる作品の一つ。

園部藩歴代藩主の蔵書と郷土の教育者である上野盤山の蔵書を合わせて、小出文庫として設立した際、これを記念して贈られたもの。なお、当図の裏には盤山の五女・梅子の夫である長井友平の識語がある。それによれば当作品は、盤山が喜ぶ画題を長井が選び、宗立に制作を依頼したようだ。

紙本着色・額
23.3×50.8cm
大正5年(1916)
南丹市立文化博物館蔵
◾️ 関連情報

[図録]田村宗立 リアリティーを追求した画家
船井郡園部村(現南丹市園部町美園町等)出身の大塚春嶺が没後80年となることから開催した回顧展の展示会図録。数々の作品から、伝統的な歴史画の中で挑戦を続けた春嶺の足跡を振り返るとともに、これまで詳しく取り上げられることのなかった物語絵についても紹介している。
2018年10月発行/80ページ/400g